スポーツドリンク2

糖質の濃度

 前回お話ししたように、スポーツドリンクには発汗で失われる水分と電解質(主にナトリウム)、エネルギー源の糖質が含まれています。
 今回はエネルギー源の糖質について考えてみたいと思います。

 飲んだものが胃から小腸へ流速さは糖質濃度が高くなるとその速度が遅くなります。
 胃から小腸へ流れる速さを大きく遅らせることなく、小腸からの糖質の供給速度も高く維持できる糖の濃度の上限は8% 程度であることがわかっています。
 そのため特に1時間以上の運動をする際には、疲労の予防と水分補給効果から4~8%程度の糖類を含む飲料が勧められていいます。

糖質の種類

 腸に行った糖質は糖質の種類によって異なった仕組みで体に吸収されます。
 グルコース(ブドウ糖)1種類を大量に摂取して、1つの仕組みのみを利用することになると飽和状態になって,糖の吸収が遅れることになります。それが消化器の不調につながることもあります。
 そこで,同じ量の糖質を摂取するなら,その一部をフルクトース(果糖)に置き換え、グルコースとフルクトースの混合物とすることで2つの吸収の仕組みが利用でき、速やかに糖質が吸収されるようになります。
 長時間(2.5時間以上)の運動で糖質が1時間あたり90g 以上が必要な場合、グルコース:フルクトースを2:1で混合すると効率よく糖質を吸収でき、パフォーマンス向上につながることが知られています。

 市販されている主なスポーツドリンクの糖質濃度は4~6%程度、糖質の種類は甘味料以外に複数含まれており、各社ともに科学的知見を基に組成を決定しているようです。
 スポーツドリンクは甘くて飲みにくいから薄めて飲んでいると自慢そうに語る人がいます。しかし、スポーツドリンクの組成は科学的根拠に基づいて設計されており,飲みやすさを優先して薄めることはパフォーマンスの点からお勧めできません。

次回も もう少し糖質について考えたいと思います。