スポーツドリンク5

スポーツドリンクの問題点

 これまで述べてきたように、スポーツドリンクは体と喉、口の渇きを癒すだけでなく、パフォーマンスの維持向上にも役立ちます。

  しかしどんな薬にも副作用があるように、スポーツドリンクにも問題はあります。


 糖分が含まれる酸性飲料であるが故に、むし歯や歯が溶けてしまう酸蝕症(ワインを飲むと歯が溶ける?参照)といった歯科的なリスクがあります。
 医学的にも飲み過ぎによる肥満や血液が酸性に傾いて起こる糖尿性のケトアシドーシス(ペットボトル症候群)の問題があります。重篤な場合には死に至る恐れもあるため、普段から水の代わりに飲み続けることに警鐘が鳴らされています。
 こうした問題もあって、スポーツドリンクは乳幼児の高熱や熱中症対策には推奨されなくなり、代わってベビー用ドリンクや経口補水液が開発されています。
 なお,世界保健機関(WHO)も糖分が含まれる清涼飲料水の多飲によるう蝕や肥満、糖尿病問題を指摘しています。

スポーツ選手はむし歯が多い

 一般人に比べて、スポーツ選手のう蝕や酸蝕症の発症リスクが高いことは国内外の研究成果から明らかになっています。
 例えば2012年ロンドンオリンピック参加選手278名の調査結果では、むし歯の保有率は55.1%,酸蝕症に至っては44.6%と高い数字でした。
 また、アテネ夏季オリンピック、トリノ冬季オリンピックの日本選手団のむし歯の数は平均よりも多いものでした。
 その原因は、疲労のために歯磨きが疎かになることや間食や補食のほか、スポーツドリンクの過剰摂取もあげられています。

私たちにできる予防

 食事をした後唾液のpHは一時的に下がり30分ほどで元に戻ります。しかし、運動しているときにスポーツドリンクをとった場合は、戻るまでの時間が遅れることが知られています。ある実験では、元に戻るまで倍の60分かかったという報告がされています。


 それでは、予防方法は。。。となるのですが、、
 残念ながら、スポーツドリンクをとりながらむし歯を予防できる確実な方法は、わかっていません。
 ですが、ある研究で、運動中スポーツドリンクを飲んだ後、しっかりうがいをすると、唾液が元の状態にはやく回復することわかってきました。


 今私たちができるせめてもの予防は、日常のしっかりした歯磨きとスポーツドリンクを飲んだ後のうがいのように思われます。