ワインを飲むと歯が解ける?

むし歯ではないのに歯がボロボロに!

 ボージョレ・ヌーヴォの解禁日の季節、今年の出来ぐわいはいかがでしょうか。ところで、「ワインを飲むと歯が溶ける」なんて噂を耳にすることがありませんか?これはワインは酸性なので長く口に入れていると歯が溶ける可能性があるということで、言われている話です。

 このように歯が溶けるのを酸蝕症といいます。酸蝕症は、むし歯のように歯が溶けてしまう病気ですが、むし歯と違い細菌は関係しません。むし歯は、細菌が「糖」から「酸」を作り出すことで引き起こされますが、酸蝕症は、主に食べ物など外から入ってくる酸や体の中の胃酸によって起こります。進行すると、むし歯同様の症状が出現します。酸性の飲食物の中に「糖」が含まれていると、ダブルパンチで溶かされやすくなります。スポーツドリンクを哺乳瓶に入れて子供さんに飲ませているのは、この最たる例となります。

pH5.5以下で歯が溶ける!

 歯は「酸」に弱く、歯の表面をおおうエナメル質はpH5.5以下になると溶け始めます。酸蝕症は以下のような原因に分けられます。
 ①産業性……メッキ工場・ガラス細工工場など、酸性ガス吸引による場合
 ②飲食物……炭酸飲料や酢、クエン酸などの過剰摂取
 ③胃酸……逆流性食道炎やおう吐など、胃酸の逆流によるもの
 ④薬剤……ビタミン・アスピリンなど、酸性薬剤によるもの

①は、労働環境が改善されて今の日本ではほとんど見られなくなっています。③については、逆流性食道炎のかたや摂食障害の方に見られます。胸やけする人や酸っぱいげっぷが出る人は要注意です。さて、最近問題になっているのは②についてです。

お酒の酸性度

お酒が酸性?って方のために、アルコールについてそのpHを下の表にまとめました。ワインの酸性の度合いが強いのがおわかりになったでしょうか。

 もちろん、コーラ、スポーツドリンクも酸性度が高いので気を付けましょう。

酸蝕症を防ぐには

 お話を②に戻します。歯が溶ける状態のpH5.5以下の飲み物に長い時間触れることで 酸蝕症 が起こります。ですので、長時間ワインを楽しむのは避けたいところです。ただ過度に心配する必要はありません。スッパイものを食べるたびに歯が溶けているわけではありません。スッパイものを食べるたびに歯が溶けていないのは、唾液が酸を弱め壊れかけた歯の表面を修復してくれるおかげです。就寝時は唾液の量が減るので就寝前の飲酒は控えるようにしてください。それから、念入りに歯みがきすることをお忘れなく。