認知症と歯数

19本以下は要注意

 日本の認知症高齢者は令和7年には470万人(65歳以上人口の12.8%)になると推計されています。歯科と認知症を調べたいくつかの調査で、残っている歯が19歯以下の人は20歯以上の人に比べると、認知機能低下と認知症発症の発症する割合が、いずれも約2割高くなることが分かってきています。

歯の喪失と認知症発症

 歯の喪失から認知症発症へ至る機序はいくつか考えられるています。まず、歯を失うと、噛む回数が減ってきます。噛む回数が減ると、大脳の認知機能に関わる領域への刺激が少なり、その結果、認知機能の低下が起こり、認知症になりやすくなるという可能性がおこります。

 次に考えられるのは、歯を失うと咀嚼能力が低下して、食べられる食品が限られるようになることです。特に、歯が少ないと柔らかい菓子パンや麺類のようなものを好んで食べて、生野菜などのビタミン類の栄養素の摂取不足が起こることが指摘されています。ビタミン類の摂取不足は認知症のリスクを高めることが明らかになっています。つまり、歯の喪失から栄養状態が変化して、認知症発症してしまう恐れが出てくることです。

 その他、歯を失う主な原因である歯周病によって、歯周組織の炎症で産生されたものが、血液を介して脳に影響を及ぼし、認知症の発症リスクが高まるとことも明らかにされてきています。

 認知症の観点からもしっかり歯を治すことが大切です。