歯から考えるルーツ3

ネアンデルタール人の歯石

 歯石は歯周疾患の主要な原因ですが、人類の進化の過程を研究する微生物学者にとっては「宝の山」であるようです。
 これまでの研究では,それぞれの地域での食料の入手可能性が重要であることが示されていましたが、ネアンデルタール人が食べていた動植物に関する具体的なデータはあまりありませんでした。
 しかし、古い時代の歯石に保存されていたDNA の解析から、ネアンデルタール人の食事に明確な地域差があることが明らかになっています。

 ネアンデルタール人の歯石標本から採取したDNA の解析し,ネアンデルタール人の食事と健康について調べたところ、ベルギーで出土したネアンデルタール人が野生のヒツジと1万年ほど前に絶滅したケブカサイの肉を食べていたことがわかりました。また、スペインにいたネアンデルタール人は主としてコケ、松の実、キノコなど菜食中心の食事をしていたことが明らかとなっっています。

ネアンデルタール人にも歯周病?

ネアンデルタール人の歯石に含まれていた細菌のDNA の研究では、スペインのネアンデルタール人は厄介な細菌のせいで辛い思いをしていたらしく、さらに治療に植物を使っていた可能性があったのもわかりました。また、歯周病の原因菌も見つかっています。