大人のむし歯と予防 2
歯肉の退縮
中高年になると歯茎が下がり今まで露出していなかった部分が見えてきます。歯が長くなったと表現される方もいらっしゃいます。

歯ぐきの後退は40歳あたりから始まります。それは歯肉や歯槽骨の厚みが少ない人ほど歯肉退縮が進行するとされ、歯ぎしりや過度なブラッシングがこれを促進させます。
歯根(歯の根の部分)は本来、歯肉や歯槽骨に覆われているべき組織ですから,露出するとさまざまな問題を引き起こします。
歯肉の退縮で露出した部分は、エナメル質で覆われていません。象牙質が露出してしまっているのです。
象牙質は、臨界 pH が約6.7で,これはエナメル質の pH5.5に比べかなり中性に近いため耐酸性が低い組織です。また、象牙質の硬さはエナメル質の4分の1にも満たないのです。
ですから、根面は酸に溶けやすいからしっかり磨かなければならないのですが、磨きすぎると摩耗するというやっかいな組織なのです。
根面う蝕

そんな歯肉の退縮から起こるむし歯を『根面う蝕』と呼んでいます。50歳代をピークにこのむし歯がふえていきます。

根面う蝕は,清掃性の悪い歯頸部から発生することが多く、これがエナメル質に進行せず、複数面に複数歯に広がることが特徴です。
また痛みを感じることなくむし歯が進行し、破折して歯の上の部分を失い,これが原因で摂食障害を招き、「低栄養」などの深刻な問題になっていきます。

歯の間の掃除
根面う蝕の発症を未然に防ぐには、最も汚れが残りがちな歯と歯の間のプラークコントロールが重要になります。
国民が毎日2回以上歯を磨くようになった今でも、う蝕や歯周病がコントロールされるようになったとは言い難い理由に、歯間清掃の不実行があります。
ある実験では、歯ブラシだけだと歯と歯の間の汚れは62%ほどしかとることが出来ませんでした。
しかしデンタルフロスを使うことで90%の汚れが取れることが分かりました。この効果は、ホルダー付きのデンタルフロスでも手巻き(糸だけのもの)もほぼ同じ結果でした。

使い方については、サンスターのページが参考になると思います。
次回は、予防のお話の第2弾として フッ素についてお話ししたいと思います。