スポーツドリンク3

糖質補給

 フルマラソンをされている方には常識のお話となりますが、糖質補給についてもう少し考えてみたいと思います。

 2時間を超える中~高強度運動時の糖質推奨量は1時間あたり60 ~ 90g といわれています。
 運動強度が高ければ高いほど、糖質摂取量も推奨される範囲の高めの量になります。
 例えば,3時間のレースにおいて1時間あたり90g の糖質を補給する場合、レース中に糖質量270g を摂取することになります。この量はエネルギーゼリー(1袋180g 入り)だけで摂取するならば6個、おにぎりなら6~7個、スポーツドリンク(1本500mL)であれば9本、果汁100%オレンジジュースなら2.4L です。
 フルマラソンをされている方がどのようにされているかは、皆さん異なるでしょうが、推奨量レベルの多量の糖質を摂取することはかなり難しいのでは・・・・

糖質接種と消化器症状

 実際のレース中における糖質摂取状況を調査した研究は数少ないのですが、走行距離165km のウルトラマラソンに出場した選手について炭水化物(糖質と食物繊維の合計)の摂取量を調べたところと16.2 ~56.1g で、そのおよそ6割を飲料およびゼリー類から摂取していたという報告があります。
 このとき、エネルギーおよび炭水化物の摂取量が多い選手ほど走行速度が速かったこともわかっています。トレーニングされた選手であっても推奨量レベルの糖質を摂取することが難しい一方で、高強度長時間運動時の糖質摂取量がパフォーマンスと関連することが示されたということです。
 さて、運動時に推奨量レベルの糖質を摂取できない理由の一つに、運動時に栄養補給をすることによって生じる消化器症状が挙げられます。
 運動時に自覚される消化器症状(むかつき、吐気、下痢、胸痛、腹痛)は高強度運動や長時間運動の際に生じやすく、運動環境や運動前の食事または水分摂取状況、内臓血流量減少や運動に伴う脱水、さらには機械的振動が関与すると考えられています。激しい運動つづけていて、むかつきや腹痛を起こしたことは誰でも経験したことがあるのではないでしょうか。

ハイドロゲルのスポーツドリンク

 最近、「ハイドロゲル技術」を用いたスポーツドリンクが話題となっています。
 高い糖質濃度でありながら胃に長く留まることなく体内に速く吸収されることから、国内外の一流マラソン・長距離選手がレースや練習で摂取していたことで注目されてきているようです。
 運動時に消化器症状が生じやすいひとにとってはその予防や軽減の可能性があるかもしれません。

 次回は、新しいスポーツドリンクの活用法を考えたいと思います。