妊婦さんがよく噛むと・・・

妊婦さんとストレス

妊娠中から周産期の環境が子どもの発育・成長に大きく影響することが分かってきています。
特に,妊娠中に強いストレス,あるいは弱くても持続的なストレスに曝された母親から生まれた子どもは,学習・記憶障害や不安障害,うつ状態,注意障害,多動性障害,言語習得遅延などの神経発達障害や精神疾患,情動障害のリスクが高まることが報告され、
子どもの健康や成長発育の観点から妊娠中の環境が注目されるようになってきいます。

妊娠中,特に妊娠後期の胎盤機能が完成した後にストレスを被った母親から生まれた子どもの行動異常や精神遅滞の発生率が,ストレスを受けなかった母親から生まれた子どもの約2倍であるという疫学調査の結果も発表されています。

咀嚼運動でストレスは緩和される

一方,咀嚼運動により,ストレスから生じるがんや胃潰瘍の発生が抑制されたり,ストレスによる脳内カテコールアミンとアドレナリンの増加抑制,視床下部-下垂体-副腎皮質系の活性低下などが最近,多数報告されるようになって、咀嚼運動がストレス対処法として注目されています。

妊娠中、よく噛むことはとても大切

マウスを使った実験では、妊娠期ストレスが出生後の仔マウスの脳の発達障害やストレス脆弱脳を引き起こすが、母マウスにに積極的に咀嚼運動させていると母マウスにストレスが付加されていても出生後の仔マウスに発達障害やストレス脆弱脳の形成が抑制されることが分かってきています。
これは動物実験結果ですが、人でも同じような効果が期待できると思われます。

飯沼 光生;妊娠中のストレスに対する咀嚼運動が仔マウスの脳機能障害に及ぼす影響, 日本歯科医師会雑誌 Vol. 73 No. 3 2020年6月号
19~29 ,2020-6

妊婦さんに限らず、よく噛んで食べましょう。